留学体験記
「コロンビア大学」へ奨学金付き編入
2026.02.06
アメリカでの幼少期が育んだ「海外への思い」
Kさんは日本で生まれ、小学校3年生から6年生までをアメリカで過ごしました。この経験が、その後の留学への強い思いの根底にあります。
最終的にKさんの留学挑戦への背中を押したのは、金融業界で働く親戚の存在でした。その親戚は留学経験者でもあり、幼い頃からKさんを可愛がり、様々な経験をさせてくれたといいます。
「ある日、親戚が自宅で流暢な英語でビジネスコールをしているのを偶然耳にしたんです。『すごい、世界が広がった!』と強い衝撃を受けました。それが、留学を志す大きなきっかけになりました。」
筆者も、身近な人の姿に影響を受けて進路を決めた経験があります。Kさんにとって、親戚の存在がどれほど大きかったかが伝わってきました。
高校受験での挫折
日本に戻ってきてからは、公立中学校に進学しました。当時、Kさんの周りには帰国子女がほとんどいなかったそうですが、「人と話すのが好きなタイプ」だったため、すぐにみんなと仲良くなり、楽しい中学生活を送ることができたといいます。
しかし、高校受験では大きな挫折を経験します。
「目指していた公立高校に合格することができず、人生のどん底レベルの挫折を味わいました。」
滑り止めで入学した高校は野球の強豪私立高校。そこでスポーツと勉強に明け暮れる日々を送りました。特進クラスに在籍し、古文・漢文など日本の伝統的な科目の勉強にも追われていたそうです。
「正直、高校時代は野球についていくので必死でしたね(笑)。」
この時期、勉強は「無理やりやらされている」感覚が強く、成績も伸び悩んだといいます。しかし、幼少期にアメリカで過ごした経験と、親戚が英語でビジネスを行う姿から、「いつかまたアメリカに戻って勉強したい」という気持ちは常にあったそうです。
コミュニティカレッジへの道
高校卒業後、Kさんは先生から紹介されたNICという東京の語学学校で学び、コロナ禍でのハイブリッド授業を通して留学準備を進めました。
留学先のコミュニティカレッジ選びでは、日本人が少なそうなカレッジを選んだといいます。当初はスポーツマネジメントを専攻する予定でしたが、次第に金融業界で働く親戚の姿への憧れが強くなり、金融の専門知識を深めるため「金融経済学(Financial Economics)」を選びました。
充実したコミカレ生活
コミュニティカレッジでの生活は、Kさんにとって非常に充実したものでした。
「基本的に週に2〜3クラスを対面で、1クラスは完全オンラインで受講していました。コミカレ生活はずっと充実していて楽しかったです。」
週末にはカリフォルニア州サンタクルーズなどへ遊びに行くこともできたそうです。学業と遊びのバランスが取れていたんですね。
学業だけでなく、課外活動にも精力的に取り組みました。留学生のコネクション構築クラブの副代表として、留学生同士の交流の場を作り、互いにサポートし合えるコミュニティ形成に貢献したといいます。
さらに驚いたのは、野球クラブを立ち上げたことです。
「野球に興味を持つ学生を4〜5人運営メンバーとして集め、アドバイザーの先生を見つけてクラブを設立しました。野球用具を揃えてグラウンドで野球をしたり、WBCのウォッチパーティーなども開催しました。」
チベットや香港出身のメンバーなど、野球に馴染みのない国籍の学生も積極的に巻き込み、活動の幅を広げたといいます。
「クラブを立ち上げる明確な手順があったから、そんなに苦労しなかったです。2年次には日本人学生も多く参加するようになりました。」
ゼロからクラブを立ち上げるって、すごい行動力ですよね。筆者だったら「面倒くさそう」と思ってしまいそうですが、Kさんは実際に形にしてしまった。この行動力が、後のコロンビア大学合格にもつながっているのだと感じました。
勉強の本質を教えてくれた先生
学業面でも貴重な出会いがありました。Kさんはある数学の先生との出会いを「後の方から価値に気がついた」と語ります。
「その先生は最初の授業で『S大学はクソ食らえ』と話すほどユニークな人物でした(笑)。授業は基本的に勉強の仕方についてで、数学の内容は全てYouTubeにアップロードして、生徒が各自それを見る形でした。」
今まで日本で受験勉強スタイルに励んできたKさんにとって、その先生が教える"Deep Learning"は新鮮だったといいます。
「『なぜ勉強するのか、何を目的とするのか』を理解し、数学の本質を学ぶ方法でした。この先生との出会いが、今のコロンビア大学での大変な勉強についていくための基礎になっています。とっても感謝しています。」
日本人とは積極的には交流しなかった
Kさんは強い決意を持って留学に臨みました。
「せっかく親から大金を叩いてもらっているのだから、留学を最大限活用したい。だから、日本人とは積極的には交流しませんでした。」
コミュニティカレッジでは、基本的にローカルの学生や他国の留学生と友達になり、英語だけを話すように徹底したといいます。
ルームメイトも日本人ではなく、UCLAに編入したインドネシア人の学生と切磋琢磨していたそうです。
「頑張り屋さんの素晴らしい人間で、良い刺激を受けました。彼が日本に来る時に会って案内するくらい、とっても仲が良いです。」
さらに、Kさんはとびきりすごい韓国人留学生にも出会いました。
「彼はちょっとレベルが違うんですよね。本気度が違うというか。たくさんのすごい課外活動に手を出していたし、とにかくすごかった。」
その韓国人留学生は、ほんの一握りの枠しかないイェール大学の編入生として合格したそうです。
「やっぱり、環境が大事。たくさん勉強して、たくさん活動をする志高い仲間がいたからこそ、いい刺激をもらえて僕も頑張れました。」
コロンビア大学への合格
充実した課外活動に加え、ビジネスコンペやハッカソンに携わるなど、積極的に「+アルファ」の経験を積んだKさん。コミュニティカレッジで素晴らしい成績を収め、見事、念願のコロンビア大学への3年次編入を果たしました。
年間2万5千ドルの奨学金
Kさんのコロンビア大学での留学を経済的に支えているのが、大学から受給している手厚い奨学金です。
「コロンビア大学からは、年間2万5千ドルの奨学金を毎年いただいています。学費(約5万3千ドル)の半分くらいがカバーされています。」
この奨学金はNeed-Based(ニードベース)奨学金で、生徒の家計状況に基づいて支給されるものです。
「初めから奨学金獲得を狙っていたわけではないですが、これは本当に助かっています。」
多くの学生が気になる奨学金獲得の秘訣について、Kさんは「情報」と「粘り強く調べること」が最も大切だと強調します。
「コロンビア大学では、奨学金をもらっている学生は意外と多い印象です。年間8千ドル程度の人もいれば、私のように多額の奨学金を得ている人もいます。あまり知られていないですが、私立大学は奨学金が出やすい傾向にあると思います。」
スタンフォード大学は奨学金が出にくいと聞く一方で、「イェール大学では全額奨学金が出た」友人もいるそうです。筆者も、私立大学は学費が高いイメージがありましたが、奨学金が充実していることは意外と知られていないですよね。

「放り投げられる」環境
念願のコロンビア大学での生活は、Kさんにとってなかなかハードなものでした。
「コミカレは先生がわかるまで教えてくれる手厚いサポートがあったんですが、コロンビア大学ではそれが一切ないことに衝撃を受けました。」
まさに「放り投げられる」ような環境で、学業は完全に競争だったといいます。
「考え方を変えなくてはいけないことを痛感しました。誰も手取り足取り教えてくれるわけではなく、全て自分でやらなきゃいけない。周りの学生は『自然とできる生徒たち』が集まっているからこそ、自分は『そこまで頭良くない』と感じ、ひたすら努力する必要があることを痛感しました。最初の学期が一番大変でしたね。」
コミカレとのギャップに驚いたというKさんの話を聞いて、筆者も環境の違いの大きさを感じました。手厚いサポートから一転、すべて自己責任の世界へ。そのギャップに適応するのは、想像以上に大変だったのではないでしょうか。
コロンビア大学での一日
Kさんのコロンビア大学での典型的な一日は、朝9時からの授業からスタートします。
「朝起きるのが苦手なので、あえて朝の授業を入れて、強制的に早起きするようにしています。」
授業は午後3時頃に終わり、その後はクラブでのミーティングに参加し、夜遅くまで(10時か11時頃まで)勉強に集中する日々だそうです。
「勉強量はめちゃくちゃ多いです。でも、それをみんなやっているからこそ、自分もやらなきゃってなりますね。」
「遊ぶ期間はほとんどない」のが実情で、特に最初の学期はアジャストするのに非常に時間がかかったそうですが、今はメリハリをつけて「やるときは徹底的にやる」というスタイルを確立しています。

200人規模のクラスでの競争
特に大変だったのは、経済学メジャーの最初の必修科目だったといいます。
「経済の科目が多く、競争が激しかったです。200人規模のクラスで自力で進めるスタイルに苦労しました。クラス内でのテストの順位に応じて成績が決まるので、英語力でハンデがある自分はめちゃくちゃ勉強しました。」
200人の中で順位を競う。しかも英語がネイティブではない状態で。その厳しさは想像を絶するものがありますね。
社会で活躍するためのベースを鍛える場所
コロンビア大学では、「放り出されることで、その環境内で自分の力で、何から何までやっていく」ことが求められます。クラブ活動から勉強、ネットワーキング、スケジューリング、それらすべてを自分で管理し、実行していくのです。
「それらって結局、社会に出てから活躍するためのベースなんですよね。それを鍛えてくれるんです。だから、僕はこのコロンビアでの1年を経てとっても成長したと思います。」
この言葉には、厳しい環境を乗り越えてきたからこその重みがありました。大学は勉強するだけの場所ではなく、社会で活躍するための力を総合的に鍛える場所なんだと、改めて感じました。
友達を作る秘訣
コロンビア大学で友達を作る秘訣は、学校が始まる前のGS(General Studies)のオリエンテーション「Jump Start GS」に全て参加したことだったとKさんは語ります。
「学校が始まっていない時期に繋がったのが大きかったです。授業内ではなかなか友達は作りにくいですね。」
その後は、金融系のクラブ活動に参加することで、さらにコミュニティを広げているそうです。人気のある金融クラブでは入会に厳しい面接がありますが、これらは1、2年生向けの予行演習のような位置づけで、英語での面接に対応できるよう友人同士で対策を練ることも重要だと話しています。
「積極的に関われるクラブを見つけることが、コミュニティを広げる鍵になります。」
起業系のColumbia Rising Entrepreneurs(CORE)やColumbia Venture Partners、金融系のCFIG、CAP、LionFund、116 Partnersといったクラブがあるそうです。これから留学を考えている人には、参考になる情報ですね。
留学を目指す人へのメッセージ
最後に、これから留学を目指す日本の学生、特に奨学金を狙っている人に向けて、Kさんから力強いメッセージをいただきました。
「結局は意志の強さに比例すると思います。自分の中で『どういう人間になりたいか』という明確な道筋を立て、日々それを考え、計画を立てることが重要です。でかい夢を持っている人ほど、意外と日々の積み重ねを軽視しがちなので、ここを大切にしてほしいですね。」
そしてもう一つ、Kさんが強調したのは「人との繋がり」の大切さです。
「留学生活では、周りの人からの情報やサポートが非常に重要になります。私もコミュニティカレッジ時代に、良い先生や優秀なルームメイトに出会えたことで、大きく成長できました。積極的に人と繋がり、フィードバックをもらうことを恐れないでください。」
Kさんにとって、留学とは
高校受験で「人生のどん底レベルの挫折」を味わったKさん。しかし、幼少期のアメリカでの経験と、親戚の姿への憧れを胸に、留学への道を歩み始めました。
コミュニティカレッジでは、日本人とは積極的に交流せず、英語だけを話すことを徹底した。野球クラブを立ち上げ、ビジネスコンペやハッカソンにも挑戦した。そして、志高い仲間たちから刺激を受けながら、コロンビア大学への編入を果たした。
「やっぱり、環境が大事。たくさん勉強して、たくさん活動する志の高い仲間がいたからこそ、いい刺激をもらえて、僕も頑張れました。」
コロンビア大学では「放り投げられる」環境の中で、すべてを自分の力でやり遂げられることを求められた。最初の学期は本当に大変だったけれど、その経験が社会で活躍するためのベースを鍛えてくれた。
「結局は意志の強さに比例すると思います。」
Kさんのストーリーは、明確な目標設定と地道な努力、そして人との繋がりが、留学成功の鍵であることを教えてくれます。経済的な不安がある方も、Kさんのように手厚い奨学金を得て、夢の海外留学を実現できる可能性は十分にあります。
環境が人を変える。Kさんの言葉が、これから留学を目指す人たちの背中を押してくれることを願っています。