留学体験記

【アメリカ留学】コミカレからUCSD編入|受験文化から抜け出して、データサイエンスへ ~音楽と共に生きる~

UCサンディエゴ

Cognitive Science (編入時はData Science)

Tさん

受験の連鎖と海外への疑問 

Tさんは、中高一貫校に通い、中学受験を経験しました。 「中学受験は大変でしたね。その後もずっと受験という状況が続くわけですよ。中学、高校、そして大学受験へ」 そう語るTさんは、当時の環境に疑問を抱き始めていたといいます。理系の受験勉強を頑張っても、大学に入ったら燃え尽き症候群になってしまうのではないか。そう感じた彼は、日本の大学受験のシステムに魅力を感じなくなったそうです。


ニュージーランド留学英語が通じない悔しさ

中学2年生の時、学校のプログラムでニュージーランドへ3週間の短期留学に行きました。 その当時、Tさんはクラスでも英語ができる方だったといいます。だからこそ、自信を持って渡航したそうです。

「でも全然通じなかったんですよ。すごく悔しかったですね。」

この経験は、彼のその後の人生に大きな影響を与えることになります。

高1での選択留学という道

高校1年生の時に、Tさんは大きな疑問に直面していました。

「日本の大学に行って、本当に意味があるのか。大学に入ってもバイトして、サークル活動して、遊んで終わりそうだなと思ってたんです。」

しかし、ニュージーランドでの経験があったからこそ、別の選択肢も見えていました。それが海外という道です。 そうは言っても、高1では早すぎてしまう。留学のサポートは高3から始まるから、もう一年待ってから考えてみようと思ったそうです。 大学受験はしたくなかったといいます。

「自分は周りに流されやすいと思っていたんです。だから文化や言語環境が違う場所に行くのは、むしろいいのではないかと。」

高校2年生の時に、いろんな留学エージェントを見て回った時、どこからも同じアドバイスを受けました。

「コミカレから4年生大学への編入が、今からでもアメリカのトップ校にいける唯一のチャンス」

この言葉がきっかけとなり、編入という道を考え始めました。

渡米のきっかけ  

アメリカへの留学を決めたTさんでしたが、その決断過程は意外とカジュアルなものでした。

「実は、アメリカという国自体もそんなに『キラキラしているから行きたいな』くらいだったんです。そこまで深く考えていませんでした。」

「それでも、今となっては良かったと思ってますよ。あの時DVCに来てなかったら、今どうなってたんだろう。」

Tさんはコミカレに行く前に、3ヶ月間語学学校に通いました。現地の生活に慣れるためです。 その時から、課外活動の重要性についても考え始めていたといいます。「PIQ」という、UC(カリフォルニア大学)編入のためのエッセイがあることも、その時に初めて知ったそうです。

大学キャンパスで、海外の友人2人とピースサインをしながら自撮りするTさん

DVC(Diablo Valley College)1年目人間関係の構築 

Tさんは家探しについてあまり調べていなかったといいます。ホームステイや Apartmentといった選択肢があることさえ知らなかったのです。
「Craigslistで調べて、そこで見つけた家に入りました。」

しかし、DVC1年目で最も大切だと思ったのは、学業よりも人間関係だったといいます。 「ここで友達を作らないと終わりだなって思いました。だから積極的に声をかけに行きました。」

Tさんは、外国人留学生に話しかけ、友達を作ったそうです。同じ状況にある者同士、共通点が多かったのかもしれません。

冬休みの日本帰省時、日本人学生のグループに参加しました。そこで、家の「Replacement」(次の住人)を探している場所を見つけ、LINEで申し込んだそうです。
こうした繋がりが、後の大きなネットワークへと広がっていきます。

課外活動「JA」世界が広がる瞬間 

DVC1年目でTさんが参加した課外活動が「Japanese Association (JA)」です。
JAの活動内容は多岐にわたりました。BBQの会計、UC Berkeleyのキャンパスツアー、そしてZoomで社会人を呼んでセミナーを開催したのです。

また、Google Developerというクラブにも入り、アプリ開発の枠組みを担当してプレゼンを行いました。 こうした課外活動を通じて、Tさんの視野は確実に広がっていきました。

一方で、学業の面では苦労もありました。

「アメリカでの数学は、日本の高校でしっかりやっていたらわかるんです。唯一、線形代数だけは大変でした。」

しかし、最も大きな課題は英語でした。授業のスピードが早く、聞き取れないことが多かったのです。 一番辛かったのが、英語でのエッセイだったといいます。

それでも、理系の授業についてはこう振り返ります。

「理系の授業は、英語がわかんなくてもなんとかなるんです。やっていることはわかるから。」

DVC生活の日常アニメと音楽 

学業以外の時間は、どのように過ごしていたのでしょうか。

「家でアニメを観るか、たまに友達とご飯を食べに行くか。そんな感じでした。」

そして、もう一つ大切なことがありました。音楽です。

「オンラインで作曲の勉強をしていたんです。」

高3の時に音楽制作を始めようとしたが、何をやればいいかわからずにいたTさん。
それが、コミカレ1年目の学業が捗らず停滞していた時期に、もう一度向き合うことになるのです。

アメリカへの第一印象意外な発見 

Tさんがアメリカに来て一番びっくりしたことは、何だったのでしょうか。

「人々がとても優しいことです。人種差別などがあると思っていましたが、全くありませんでした。」

しかし、もっと印象的だったのは、アメリカで出会った日本人のことでした。

「留学に来ている日本人が多種多様なんですよ。そこに一番びっくりしました。日本の各地から集まってくるから、周りにいた人達はみんな、経験や生い立ちが全然違うんです。いろんな人に会えて、とても楽しく学びになりました。」

このギャップは、Tさんに大きな気づきをもたらしたに違いありません。

青空と雄大な自然を背景に、仲間たちと肩を組んで後ろ姿を見せるTさん

DVC 2年目UC編入への準備 

2年目になると、Tさんの活動はより具体的になりました。 夏の段階でData Scienceのインターンを探し始め、秋から実際に始めました。 

同時に、UC編入のためのエッセイ(PIQ)にも向き合うことになりました。
Tさんはこの時期、複数の人物に添削を依頼しました。

「日本人学生クラブの先輩、家に昔住んでいた先輩、そしてICFという教会の団体のネイティブスピーカーに見てもらいました。」

エッセイを見てもらった回数は、それぞれ2、3回程。ネイティブスピーカーの視点を取り入れることの大切さを、身をもって実感したといいます。

音楽とクリエイティビティ魂を込めたエッセイ 

Tさんのエッセイテーマは「Creativity(クリエイティビティ)」でした。

それは音楽についての執筆です。 高3で一度、音楽制作を始めた彼。しかし、何をやればいいかわからず、挫折していました。

それでも、コミカレ1年目の秋冬セメスターに、Instagramで見つけた学校の広告がきっかけで、本格的に音楽を始めることを決意しました。

「音楽っていろんな融合があるじゃないですか。ジャンルとか何してもいいから、例えばロックにEDMを入れてもいいし、バラードにロック要素も入れてもいい。」

Tさんはもともとダンスミュージックが好きでした。また、アラブや民族音楽にも興味がありました。

「EDMとそういう民族音楽の文化の融合した曲を作ったんです。いろんな視点を持つことが大事だというのが、自分のクリエイティビティなんだと思ったんです。」

UC San Diego戦略的なメジャー選択 

そんなTさんは、UC San Diegoへの編入が決まりました。
しかし、すぐに大きな問題に直面します。
「もともとData Scienceメジャーで来たんですが、カリキュラム的に編入後3年間いなきゃいけないんです。」

このままでは4年間で卒業できません。そこでTさんは戦略を立てました。

「Cognitive Scienceという、認知科学のメジャーに変えようと思ったんです。そのメジャーにはMachine Learningという機械学習の分野があって、それを取ると、Data Scienceの授業もとりつつ、2年で卒業できるみたいなんです。」

この情報は、すべてカウンセラーに相談して得たものでした。
「カウンセラー5、6人に聞きまくりました(笑)。彼らに聞くのは本当に大事だと思います。」

UC San Diegoでの学生生活 

現在、Tさんはサンディエゴでの生活をどう過ごしているのでしょうか。

「朝8時に起床して、勉強して、家と学校の往復です。たまにダウンタウンに行ってご飯を食べたりとかサンディエゴを観光したりとか。」

当初は観光地も多く訪れたそうですが、今は学校と家の往復がほとんどだといいます。

独特な幾何学構造が特徴のUCサンディエゴ・ガイゼル図書館の外観

UC San Diegoの特徴

UC San Diegoは、他のUCとは異なる独特の制度を持っています。 新入生はそれぞれのカレッジにアサインされるのです。8つあるカレッジの中で、Tさんはジョン・ミューア・カレッジに配属されました。

「John Muirはrequirementが1個だけだったから、そこに行ったんです。」

また、UC San DiegoはQuarter制度を採用しており、DVCでのSemester制とは授業のペースが異なります。

「セメスター制からクォーター制に変わるので、授業のスピードが早いんです。」

学生の質も異なると感じたといいます。

「みんな頭がいい気がしますね。データサイエンスやコンピュータサイエンスの学生は、特に平均点が高い気がします。」

キャンパスの広さ、設備の充実、そしてアジア人学生の多さも印象的です。

「設備が本当に整ってます。学生をサポートできる環境がとても整っている。」

留学先で友人たちと屋外の食事会を楽しみ、笑顔で自撮りするTさん

UC San Diegoの好きなところ自然と気候 

Tさんが最も愛しているのは、サンディエゴの自然と気候です。

「海がめっちゃ綺麗で、景色もめっちゃ綺麗。だからマリンスポーツもできるし。」

また、気候の温かさも大きな魅力です。

「冬でも寒くないし、雨も降らない。毎日ハンモックに寝転がってますよ。」

自然豊かな環境、穏やかで柔らかい雰囲気。これらが、Tさんがサンディエゴを愛する理由です。

「みんな穏やかで、とても優しい。」
QOL(生活の質)も高いと感じているといいます。

「UCSDは本当におすすめですよ」

しかし、欠点もあります。

「学校が広すぎるんです。端から端まで歩くと1時間かかることもあります。」

それ以外は、特に不満はないようです。

これからのキャリア音楽への真摯な向き合い 

将来のキャリアについては、まだ考え中だといいます。 ただし、Tさんが本気で向き合おうとしているのは、音楽です。

「実は、Instagramの広告で見つけた学校で、本格的に作曲を学んでいるんです。」

インターンでのデータサイエンスの仕事とは別に、音楽制作に時間を割いているのです。

留学を目指す人へのメッセージ

最後に、これからアメリカへの留学を考えている人へのメッセージを聞きました。

「日本が合わなかったら、さっさと飛び出しちゃいな。」

そして、こう続けます。

「今を全力で生きましょう。今自分にできることをやった方がいい。仮に今できることがないんだったら、待つしかないですね。」

これは、Tさん自身の経験から生まれた言葉です。当初はアメリカへの具体的な夢を持っていなかったにもかかわらず、その場その場で「今できることをやる」という姿勢を貫いてきた。その積み重ねが、現在の彼を形作っているのです。

留学とは何か 

そんなTさんにとって、留学とは一言で言うと何でしょうか。 明確な答えはまだ決まっていないようです。

しかし、彼の言葉から感じられるのは、留学が「変容の過程」であり、「現在進行形」の体験だということです。

中学での英語の悔しさから始まり、ニュージーランド、コミカレ、UC San Diegoへと続く彼の道のりは、決してプランされたものではありませんでした。

その時その時で、「なんとかなるやろ」と進む。それが、Tさんが多くの留学生に伝えたい、最も大切なメッセージなのかもしれません。